韓国で兵役に行かないと、どうなるのか?
刑事罰?社会的制裁?
それとももうひとつの選択肢があるのか。
実は今、韓国の兵役制度はただの
「義務」では片づけられないほど複雑になっています。
罰則の有無だけでなく、
良心的兵役拒否や代替服務制度、
そして有名人の兵役拒否騒動まで。
社会的な評価やキャリアへの影響も無視できません。
この記事では、
韓国で兵役に行かないとどうなるのか、
その法的リスクと社会的影響を、
最新の情報とともにわかりやすく整理しました。
読み終えたころには、
「なぜいま韓国の兵役問題がこんなにも揺れているのか」
がきっと見えてくるはずです。
韓国の兵役制度とは?基本情報を解説
兵役の対象年齢と期間

韓国では、原則として
18歳から28歳までの健康な男性に兵役義務があります。
つまり、就職や進学、留学といった
人生の大事な選択をする時期を、
兵役に費やすことになるわけです。
兵役の期間は、所属する部隊によって異なります。
陸軍は約18か月、海軍なら20か月、空軍は22か月。
なかなかの長期戦です。
韓国人にとって兵役は一大事
〇大半のカップルが破局
〇兵役を終えると就職活動で加点して
選考してもらえる兵役期間(満18歳~満28歳までに)
空軍…22か月 海軍…20か月
陸軍/海兵隊…18か月兵役法第3条
大韓民国国民に男性は
”兵役の義務を誠実に遂行”しなければならない— ハシメ (@yf5KWdQ61bnluwf) September 24, 2020
ここで感じるのは、韓国が
安全保障を最優先に考えているという姿勢。
18歳から28歳という人生でいちばん
自由で動ける時期を国家のために差し出す。
これは国家からの強いメッセージでもあるんですよね。
「個人より国家が優先される構造」、
それが制度全体ににじんでいます。
兵役の種類と判定基準

韓国では、兵役に就く前に
「判定検査」というものを受けます。
健康状態や精神面のチェックをして、
どんな任務に適しているかを判断されるんです。

イメージとしては、学校の運動会で
「リレー」「玉入れ」「応援団」に分けられるのと似ています。
先生が「この子は走るのが速いからリレー」
「この子は声が大きいから応援団」みたいに、
それぞれに合った役割を割り振っていく感じですね。
兵役の判定も、それと同じで
「この人は前線へ」「この人は支援係で」と、
向き不向きに合わせて任務が決まっていきます。
(1)現役兵:健康状態が良好で、一般的な軍務に就く人
(2)補充役:軽度の制限がありつつも、軍務の一部を担える人
(3)公益勤務要員:軍ではなく、役所や公共機関などで代替服務を行う人
(4)免除:重度の障害や特別な事情があり、兵役自体が免除される人
「行くことが当たり前」とされる社会で、
「行かない」ためには正当な理由が必要。
逆に言えば、「行った人」は
ちゃんと果たした人として
信用や称賛を得る構造がある。
このバランスそのものが、
韓国の兵役制度の重みを物語っています。
兵役免除や延期の条件
「じゃあ、行かずに済む方法ってあるの?」
と思った方もいるかもしれません。
実は、いくつかの条件を満たすと、
兵役は免除または延期されることがあります。
具体的には、こんな理由が代表的です。
・健康上の理由:
重度の身体的・精神的疾患がある場合
・家庭の事情:
家族を支える立場にある、
または介護が必要などのケース
・学業や海外滞在:
大学に在学中、
あるいは長期留学・在外中など
ここで大事なのが、
「免除」と「社会服務要員(公益勤務)」の違いです。
→社会服務要員の仕事内容とは?兵役との違いを徹底解説
たとえば、健康に問題がある人でも、
完全な免除”認められるのはごく限られたケース。
多くの場合は「軍での訓練は難しいけれど、
社会貢献はできるよね?」ということで、
公共機関などでの勤務=社会服務要員に分類されます。
つまり
・免除:
まったく兵役に就かなくていい。
国家側も「この人は無理」と判断している。
・社会服務要員:
軍務ではないけれど、
代わりに社会的な仕事をして
兵役を果たすポジション。
なので、「行かなくて済む」と聞いても、
それが本当の免除なのか、
社会服務への振り分けなのかで、
生活は大きく変わるんです。
そして忘れてはいけないのが、
どちらにしても申請には
正式な手続きと厳格な審査があるということ。
しかも、免除や服務に分類されたとしても、
「逃れた人」としての偏見やプレッシャーを受けることもある。
人道的な配慮がある反面、
社会的には特別視されやすい。
この点も、韓国の兵役制度が単なるルール以上の、
社会的意味と重みを持っていることを感じさせます。
韓国で兵役に行かないとどうなる?法的リスクと社会的影響
兵役に行かないとどうなるのか。
韓国では、それはただの個人の選択では済まされません。

行かないという選択には、
法的にも社会的にもリスクがついてくるんです。
たとえば――刑事罰に問われる可能性。
実際、韓国の兵役法第88条第1項では、
正当な理由なく入隊を拒否した場合、
3年以下の懲役刑が科されると定められています。
韓国 法律新聞 2020.9.17
『兵役法違反』
1 いわゆる良心的兵役拒否の意味
2 真正な良心に従った兵役拒否が兵役法第88条第1項の「正当な事由」に該当するか(積極)とこの時の真正な良心の意味と証明方法
憲法上の基本権保証体系と少数の寛容と包容と自由主義により合憲判断。https://t.co/JhXm0yu4ad— 🇪 🇱 ㌌ (@z_kvae) September 23, 2020
さらに、社会的な信頼や職業のチャンスを
失うこともあるんですよね。
このあたりは、
単に義務を果たさなかったでは済まされない、
国全体の空気があるように思います。
それだけ韓国では「兵役=国民の義務」
としての意味が強いんですよね。
制度としての重み。
社会からの期待。
それらが折り重なるかたちで、
兵役拒否者にのしかかる構造があるんです。
兵役拒否による刑事罰とその内容
先ほども言いましたが、韓国の兵役法によれば、
正当な理由なく兵役を拒否した場合、
3年以下の懲役刑が科されることがあります。
特に現役判定を受けたのに入隊しなかったケースでは、
懲役1年6か月以上の実刑になることも。
この懲役刑、ただの「ペナルティ」じゃないんですよ。
いわゆる前科がつくことで、
就職や社会復帰に大きなハンデが生まれます。
つまりこれは、兵役拒否=国家に対する
反逆という強い意味づけをされた処罰。
国家が義務の拒否をどれほど重く見ているか、
その姿勢が制度そのものに表れているように感じます。
兵役拒否がもたらす社会的・職業的影響
法的リスクだけではありません。
韓国では、兵役を終えたかどうかが
人としての評価軸になるケースもあります。
公務員や大企業の採用では、
兵役歴が重要視されることもしばしば。
それどころか、民間の中小企業でも
「兵役を終えている=責任感がある」
と判断されやすい空気があるんです。
逆に、兵役を拒否した人は「逃げた人」
というレッテルを貼られることも。
履歴書の段階でふるい落とされることもあれば、
面接時に説明を求められることも。
制度上の選択が、
人生そのものの選択肢にまで影響してくる。
まさに“義務”という言葉が、
社会生活の基盤を左右している状態なんですよね。
兵役拒否者への世間の評価とスティグマ

そしてもうひとつ、見過ごせないのが世間の目です。
韓国では兵役は「男なら当然」
という空気がまだまだ根強い。
そんな中で拒否をすれば、
「非国民」とまで言われることすらあるんです。
宗教的・思想的な理由であっても、
それが理解されるとは限りません。
特に著名人が兵役を免れたと報じられた場合、
SNSでは大炎上するケースも。
つまり兵役制度というのは、
単に法の話ではないんです。
世論や空気までが一体となって、
「義務を果たしたかどうか」を
国民一人ひとりに突きつけてくる。
それって、制度が国民の忠誠心を
試してるようにも見えませんか?
そう感じてしまうほど、
韓国の兵役制度は人生に深く食い込んでいる構造なんです。
韓国で兵役に行かないとどうなる?良心的兵役拒否と代替服務制度の現状
良心的兵役拒否とは何か?

兵役を拒否する理由って、
いろいろありますよね。
その中でも「信念に基づいて拒否する」というのが、
いわゆる良心的兵役拒否です。
宗教的な理由や、平和主義的な思想から
「武器を持てない」「戦争に加担できない」
と考える人たちが該当します。
これは感情ではなく、価値観に根差した選択なんです。
でも韓国では、
長い間こうした拒否も
ただの違法行為と見なされてきました。
つまり「良心に従う=罰せられる」
構図があったというわけですね。
これは制度上、国家が個人の信念よりも
義務を優先させてきた証であり、
その結果として、拒否者の多くが
刑事罰を受けてきたという事実に、
重みを感じざるを得ません。
この背景にあるのは、
「兵役に行かない=罰せられる」という
単純な構図だけでは語れない現実です。
国家と個人義務と自由がぶつかり合うこのテーマは、
まさに韓国の兵役制度が抱える
根本的な揺らぎを映しているとも言えます。
代替服務制度の内容と課題
そんな中、韓国でもようやく
「代替服務制度」が導入されました。
これは、兵役の代わりに一定期間、
矯正施設(刑務所など)
での服務を行うという仕組みです。
表面的には選択肢が増えたように見えます。
けれどその実態は、
現役兵よりも服務期間が長く、
しかも配属先は過酷な現場が多い。
つまり「拒否は認めるけど、ラクはさせない」
って感じなんですよね。
制度としては整ったけれど、
現場ではまだ懲罰的性質が色濃く残っているとも言えます。
ここに見えるのは、制度を整える国家と、
それを自由な選択と見なさない社会のズレ。
本当に信念を尊重しているのか?と、
つい問いかけたくなる部分もあります。
国際的な人権問題としての位置づけ
この問題、国内だけの話では終わりません。
実際、韓国の良心的兵役拒否に対する姿勢は、
国連や国際人権団体からも
長年にわたって批判されてきました。
「思想・信条の自由を侵していないか?」
「国際人権規約に違反していないか?」
こういった疑問がずっとつきまとっていたんです。
そして、ようやく2018年、韓国の憲法裁判所は
「良心的兵役拒否者にも配慮すべき」と判断を下しました。
つまり国家も、ようやく義務の絶対性から一歩引いて、
個人の内面に目を向け始めたということですね。
でも、それが実際の制度にどう反映され、
社会にどう浸透していくかはまだまだこれから…
というのが正直なところです。
この流れ全体を見ても、
「義務か自由か」という構図のなかで、
国家と個人の関係性が揺れ続けているのがわかります。
行かないという選択が罰されるだけでなく、
もうひとつの価値観として模索されている――
それが今の韓国の兵役制度のリアルです。
韓国で兵役に行かないとどうなる?過去と現在の対応の変遷

韓国で「兵役に行かないとどうなるのか?」
というテーマには、
時代とともに変わってきた答えがあります。
一昔前は厳格なルールが優先されていたけれど、
いまは少しずつ状況が変わってきているんです。
その背景には、国と個人、
それぞれの価値観がせめぎ合う構図が見えてきますよね。
兵役を「義務」として強く求める国の姿勢。
それに対して「信念」や「良心」を理由に拒否する個人。
この対立が、ここ最近になってようやく調整されはじめた、
というのが現在の流れです。
以下で詳しく見ていきましょう。
過去の兵役拒否者への対応

かつて韓国では、兵役を拒否することは
ほぼ許されませんでした。
信念や宗教的理由があっても関係なく、
刑務所に送られるケースが非常に多かったんです。
当時の制度は、
「国民である以上、兵役は当然」
とする考えに基づいていました。
国家が義務をどう捉えていたかが、
こうした厳しい対応に色濃く表れています。
近年の法改正と社会の変化
しかし2018年、
韓国の憲法裁判所が大きな判断を下しました。
「良心的兵役拒否を認め、
代替服務制度を設けるべきだ」としたんです。
良心的兵役の拒否>韓国では2018年だけでも2014人程もの若者が投獄されている。憲法裁判所の判断を受け、韓国政府は2019年末までに、良心的兵役拒否者のために代替制度を導入しなければならない=エホバの証人によれば1953年に朝鮮戦争の戦闘が止んだ後、同団体の信者1万9300人以上が懲役刑に処され・ https://t.co/gTRSUnVjfe
— 紀藤正樹 MasakiKito (@masaki_kito) July 4, 2018
この判決をきっかけに、
韓国でも信念に基づいた兵役拒否に対する
理解が広がりつつあります。
従来の義務一辺倒だった制度が、
徐々に多様な価値観を取り入れようとしている。
それは、制度の中に個人の信念を受け止める余地が
生まれたという意味でもあります。
有名人の兵役拒否事例とその影響
このテーマは、芸能人など著名人が
関わることで社会的にも注目されてきました。
たとえばユ・スンジュンさんは
兵役を回避するために国外へ出国し、
結果として長年入国禁止に。
ユスンジュンは「兵役の義務は誇りを持って果たします」との発言で老若男女から絶大な人気を集めたが、2002年に突然韓国国籍を離脱し兵役免除を受けた。
兵役逃れの疑いで政府から批判を浴びたユ・スンジュン氏は入国禁止措置を受け、韓国の土を踏むことができていない pic.twitter.com/t7P8E3tfyV
— keitadj (@keitadj3) November 30, 2023
また、精神的な理由で免除された
俳優のパク・ヘジンさんも
世間から厳しい視線を受け続けました。
ドラマじゃないけど
推しの人🙌🏻‼️パク・ヘジン (33)
兵役逃れとかいろいろあるけど
関係ないくらいイケメン💕👉🏻オススメ作品👇🏻
恋はチーズ・イン・ザ・トラップ pic.twitter.com/dF8o7iIbP4— 韓国ドラマ大好き女👀 (@KOREA_love_18) February 26, 2017
制度が変わっても、
社会の意識がすぐに変わるわけではない。
だからこそ、「行かない」という選択には、
今も強い覚悟が求められるんです。
韓国における兵役制度の変遷をたどると、
国家が一方的に課す義務から、
個人の信念をどう扱うかへと、
焦点が移っているのが分かります。
まだ道半ばですが、
それでも確実に一歩ずつ進んでいる。
そんな印象を抱かずにはいられません。
まとめ:韓国で兵役に行かないとどうなるのか?
韓国で兵役を拒否すると、どうなるのか──
実は「罰則がある」だけでは終わらないんです。
社会的な評価や生きづらさにも、
しっかり影響してくるんですよね。
というのも、兵役制度そのものが
「国家の義務」と「個人の信念」の真っ向勝負。
その中で、代替服務制度という
落としどころができてきたわけです。
制度として一歩進んだことは間違いないんですが、
それで全部OKかと言われると……まだまだなんです。
制度ができた=問題解決、ではありません。
社会の目や偏見、制度運用の公平性、
そこには根深い課題が残っているんですよね。
それでも、「選べる」ということ自体が、
国家が多様な価値観に歩み寄ろうとしている証とも言えるでしょう。
こうした国家と個人の関係性を考えるとき、
ふと立ち止まって眺めたくなるのが、その国の「象徴」。
たとえば、韓国の国旗「太極旗」。
あの不思議な模様と色使いには、
思った以上に深い意味があるんです。
興味のある方は、ぜひこちらの記事も読んでみてください👇
👉【保存版】韓国 国旗の意味と由来を徹底解説!太極旗の真実とは